インク工房とペンクリニック

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    セーラー万年筆の、『ペンクリニック&インク工房』というイベントに行ってきました。
    これはセーラー万年筆が定期的に行っているサービスで、毎週日本全国どこかの代理店で開催されています。
    セーラー万年筆に所属していらっしゃるペンドクターさんとインクブレンダーさんが、店頭でペンの微調整をしてくださったり、オリジナルリクエストでその場でインクを調色してくださったりします。
    どちらもとても楽しみにしておりました。
    まずインクは3色、作っていただきました。
    調色して、瓶につめてくださって単価2100円です。
    すごいなあ、ハンドメイドのオンリーワンでこの値段。嬉しい。
    このインク工房イベントで作ってくださった色は、すべて調合率が社に保管されるため、以降同じ色を注文したい場合は、個別のID番号を伝えることで再調合してもらえます。

    今回のペンドクターは長原幸夫さん。
    インクブレンダーは石丸治さんでした。
    お2人とも柔和で知的で、とても魅力的なナイスミドル。
    ステキな方たちでした。


    色には、名前も付けられるんです。すてき。

    ためし書きをした紙はすべてごく普通のコピー用紙です。裏抜けはありません。

    1色目、『隻烏』
    烏色が欲しいんです!といってお頼みしました。
    一見黒ですが、わずかに紫が入っています。赤や青の色もたくさん混じっていて、書いた瞬間の漆黒が、すっと紫に変化していくさまが美しい。
    烏色は、緑色からのアプローチと紫系からのアプローチの両方があって、相談の上紫系から作ってもらいましたが、緑系からアプローチした烏色も見てみたいなあ。

    一本目『ヤングプロフィットEF字』
    すごい。引っ掛かりが一切なくなり、すごく細く美しい字が書けるようになりました。もともと書き味は好きだったのですが、ペンドクターにほんの5分調節してもらうだけで、まったく違う書き味になるのですね!びっくりです。きりっとした、とても美しい字になるのです。カリカリとした感じまでなくなりました。

    この万年筆は現在妹が使用しています。これがきっかけで妹も万年筆ユーザーになってくれて嬉しい限り。よい万年筆です。^^


    2色目『焔影』
    友達が以前、見てみたいと言った、鮮血のような赤。
    「鮮血のような赤がいいんです。動脈血の色です。血が、わずかに乾きかけた濃縮された赤い色が欲しいのです」と言ったら
    石丸さんはうーんと唸ったあと、女性にたまにいらっしゃるんですよ、と笑われました。男性はそんないわば「ドギツイ」色をオーダーすることは少ないんだそうです。
    大変難産で、ふたりで、ああでもない、こうでもないと30分以上かけて調色しました。インクで、真紅、真っ赤って意外に難しいんですね。朱色がちになるか、ピンクに偏るかして、可愛らしい色になることがとても多かった。
    その中で、出た色がこの色。

    書いた瞬間は昔先生がテストの採点に使っていたあの赤いペンの色を髣髴とさせる、僅かにピンクがかった明るい色が、どんどん変色していきます。石丸さんも、「こんなに長い時間かかって変色する色は初めてだ」と唸るほど、10分、30分と経つと色がなんだか変わっていく。明日になったらまた違う色になってるんじゃないか、と笑っていらしたほど、色が落ちていきます。
    鮮烈な赤、美しい。目に焼きつくような赤です。
    オーダーメイドのインクブレンドは、共同作業です、お客さんの中にある、まるで化石のように埋もれた色を、手探りで掘り当てるような作業です、とおっしゃっていたのが印象的でした。

    2本目「ラミーサファリ F字」
    こ、こんな安物のペン先まで調整してくださってありがとうございます!><
    ペン先は、私は万年筆は使い初めで、どれが合っているのか、どういうペン先がいいのかまったくわからないんです、なので、ペン先に異常があるかないかくらい見ていただければ…と正直に言ってお願いしたのです。殆どおまかせ状態です。こんなお願いはどうなんだろう、と心配していたのですが、長原さんは次々ペン先を取って
    楽しそうに調節してくださいました。

    適量のインクが出る、かすれのないペン先。書き味はまるで鉛筆みたいなんです。ボールペンよりもっと軽く、軽やかにすっと書ける。なんとなくペン先が柔らかくまろやかでありながら、どぼっとインクが出たりもしません。
    ペンクリニックってすごい。
    このラミーも今は万年筆布教のために友人宅に嫁いでいきました。
    こうしてひとりひとり、万年筆ユーザーが増えると嬉しいんだなあ。


    3色目『昏暖』
    石丸さんが用意しておられたカラーサンプルの中にあった色。
    目にとまり、とても気に入って調色してもらいました。
    実際に調色の場で見た色より、いま書いてみたらブラウンが勝ってるような気がしますので、次のときにこの色にもっとグレイを足してもらえるよう、お願いしようかな。ああ、グレイベージュもいいなあ、欲しいなあ。
    グレイとブラウンの間のような、とても暖かい色なのです。

    3本目『ドルチェビータ ミディアム バーメイル F字』
    私の唯一の万越え万年筆。金ペンです。この、鮮やかなオレンジ色に惚れこんで、どうしても欲しかった。本当に美しいオレンジ色のレジンです。
    ドルチェビータミニのほうが女性にはいいといわれますが(もっと細くて小さいのです)そちらはカートリッジ専用。私はインクを入れたいので、絶対コンバーターの入るミディアム以上と決めていました。太さはちょうど、リップクリームくらいです。慣れれば気になるほどではありません。
    そして、バーメイル。通常品はポイントポイントが銀色の飾りなのですが、バーメイルは金の飾りになっています。第77回アカデミー賞受賞者全員に配られたバージョンで、限定色になるのかな…?

    万年筆は初心者なんです、と伝えましたら、ペン先はできれば18金くらいのものがいい。それをずっと丁寧に使っていれば、子供や孫に伝えられる、金ペンというのはそういうもの。ステンレスはやはり、そこまでには至らないです、と教えてくださいました。
    ペンを集めるのではなく、数本のペンを大事に愛する人になってください。書くことを楽しんで、その上で、あ、かわいい、すごく好きだ、と思ったときだけペンを増やしていったらいい、とも。

    見てもらって、最も劇的に変わったのが、このペン先でした。驚きです。
    まず、書いたときのインクの色がまったく違う色になりました。
    同じインクなのに!
    デルタのブラックを入れていたのですが、なんだか水っぽい薄いブラックだなー、水彩みたいだな、と思っていたのが、美しい黒いインクに。
    適量のインクが出ることで、使うインクの色まで違ってくる。
    文字の際立ちも月とすっぽんです。
    のったりぺったりしていた文字がすっと際立ち、シャープに締まりました。驚きです。ペンドクターってすごいな…。
    目から鱗でした。

    実際にインク工房にお伺いして思ったのは、
    あらかじめ色見本を持っていくといいということでした。
    実際の調色の場では、欲しい色の微妙な具合を伝えることがとても難しい。
    用意していくとスムーズに話が伝わるだろうなと痛感しました。

    インク工房、及びペンクリニックは定期的に全国で行われているイベントです。
    スケジュールはこちら。


    久々に仕事以外で、こんなに一杯文字を書きました!
    書きあがった文字は、なんだかあちこち曲がっていて下手なんですが、絵のようで美しいなあと思った。日本語って美しいなあ。

    写した内容は、能の謡本から各概説でした。

    コメント
    はじめまして、検索でこちらにたどり着きました。
    はじめましてで大変あつかましいのですが、こちらのインク、三色ともとても素敵なので是非インク番号を知りたいのですが、もし差し支えなければ教えていただけませんでしょうか?
    よろしくお願いいたします。
    • なばな
    • 2015/07/07 9:54 PM
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